デリケートゾーンや膣の悩みに沿った美容クリニックの施術とは?

大鵬薬品工業株式会社から東京美容クリニック 山村 菜実理事長に依頼をし、美容クリニックの施術についていただいたコメントを編集して掲載しています。

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膣のゆるみや尿漏れ、ニオイやかゆみなど、デリケートゾーンのお悩みは人によってさまざまです。それらの中にはセルフケアで軽減できるものと、美容クリニックなどの施術で改善を図るものがあります。しかし、他人に相談しにくい箇所ということもあり、正しいケアや相談先がわからないまま一人で悩み続ける方も多くいらっしゃいます。

本記事では、デリケートゾーンに関する悩みについてご紹介するとともに、美容クリニックや婦人科で受けられる施術をご紹介します。ホームケアと美容医療をうまく利用して、デリケートゾーンの悩みを解消していきましょう。

◆女性が抱えるデリケートゾーンの悩み

デリケートゾーンのお悩みは人によってさまざまです。生まれつきの個性や、加齢や出産によって引き起こされるものなど、原因もそれぞれ異なります。毎日のケアや美容クリニックでの施術で解消できる、デリケートゾーンのお悩みには以下のようなものがあります。

  • 膣の乾燥
  • 膣のゆるみ
  • 性交痛
  • ムレ、ニオイ
  • おりもの
  • 尿漏れ

これらの他にも、小陰唇(しょういんしん)の黒ずみや大きさなど、見た目に関するお悩みを抱えている方も多くいらっしゃいます。

婦人科医療に関するアンケート調査から分かった状況をみていきましょう。
※東京美容クリニック調べ
 婦人科医療に関するアンケート(2023.5.22実施、30代〜60代の女性 483人)

・婦人科での診察を受けた経験がある方は全体の約7割
うち、かゆみやニオイなどの不快感やゆるみなどの機能面で受診した人は1割未満

Q1 産婦人科医院、婦人科クリニック、総合病院の婦人科、美容婦人科クリニックなど婦人科での診察を受けた経験はありますか?
Q2 Q1で、「ある」と答えた方に質問です。診察の内容を以下の中からお選びください。(複数回答可)

・自由診療の婦人科治療で、膣や子宮、外陰部の不快感解消などのエイジングケアができることを知っているかという問いに対し、「知らない」と答えた方は約6割

Q3 自由診療の婦人科治療で、膣や子宮、外陰部の不快感解消やアンチエイジングができることをご存じですか?

・性交痛があると答えた人のうち、「悩んだままである」と回答した方は約5割

Q4 性交痛があるという方に質問です。性交痛の対処法をお選びください。

これらの結果から、美容クリニックで施術を受けることで、デリケートゾーンの悩みを解消できることを知っている方はまだまだ少数派であることがわかります。

また、自分自身が感じる悩みだけでなく、パートナーから指摘されたことによって気になるようになったという方も。これらのお悩みはパートナーとのセックストラブルに発展するだけでなく、膣や子宮の病気を招くおそれがあるため、自分の体をよく知るために一度医療機関に相談してみることをおすすめします。

美容クリニックにおける施術

膣には外部からの雑菌の侵入を防ぎ、有害細菌の繁殖を抑制する自浄作用があります。しかし、膣にゆるみ(萎縮)や乾燥があると、膣の自浄作用が乱れることで、膣炎(ちつえん)やおりもの異常などのトラブルが起こりやすくなってしまいます。

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美容クリニックにおける施術では、主に膣に潤いや弾力を与えることで膣のゆるみを改善します。また、膣に潤いや弾力を与える施術は、性交痛の一因でもある膣の乾燥や摩擦を軽減する手段としても用いられています。

具体的な診察や施術の内容を見ていきましょう。

◎膣圧計による測定

膣圧(ちつあつ)とは、膣内の圧力、膣の締め付け具合のことです。膣の周りには骨盤底筋(こつばんていきん)という、膀胱や子宮を支える筋肉があり、この筋肉が収縮することで腟内に圧力がかかります。この圧力を膣圧計という器具を使って計測していきます。

骨盤底筋の筋力が高いほど膣圧の数値も高くなりますが、骨盤底筋は出産や女性ホルモンの影響を受けて筋力が低下しやすいと考えられています。ただし、出産経験がない若い女性でも膣のゆるみに悩む方は多く、また、自分の膣の状態を把握していないという人がほとんどです。

膣圧は、自分自身の膣がどのような状態かを客観的に知ることができる貴重な数値です。デリケートゾーンの悩みを解決するアプローチを決めるうえでも役に立つでしょう。

◎ヒアルロン酸注入(膣ヒアルロン酸)

ヒアルロン酸注入とは、生体内に存在している「ヒアルロン酸」を注入し、内側からハリを出してボリュームを補うものです。膣内に注入することで、膣壁(ちつへき)にハリを出しながら締まりをよくすることができます。尿漏れの改善や、膣に空気やお湯が入るのを防ぐ効果が期待できるほか、性交渉時の感度を高めるためにも用いられます。

また、ヒアルロン酸注射には膣壁に水分を保持する効果もあるため、膣内が乾燥してヒリヒリ痛む方にもおすすめです。ヒアルロン酸注入は、メスを使わず注射で治療を行います。そのため、メスを使う施術と比べてダウンタイムが少なく、見える位置に傷跡が残ることもほとんどありません。

◎PRP注入

PRP注入とは、自分の血液から抽出したPRP(血液内に含まれている血小板の濃度を濃くしたもの)を膣内に注入する施術です。血小板には炎症を抑えながら組織を修復する「抗炎症性サイトカイン」という成長因子が含まれており、傷ついた組織の修復を促します。

PRPを膣粘膜に直接注入することで、薄くなってしまった膣壁や膣粘膜を修復し、膣内のエイジングケア効果が見込めます。入院や手術の必要はなく、日帰りでの施術が可能です。ご自身の血液を利用しているので副作用や拒絶反応が起きにくいことも特長として挙げられます。

◎膣ハイフ

膣ハイフとは、膣の中にハンドピースを挿入し、ハイフエネルギー(高密度焦点式超音波)を膣粘膜に照射する施術のことです。超音波エネルギーを膣粘膜から深層に照射することで内部に熱が発生し、その熱によって膣内のコラーゲン生成が促され、タイトニングや膣内の弾力アップなどの効果が期待できます。痛みや出血もなく、ダウンタイムもほとんどないことが特長です。膣の引き締めや弾力アップだけでなく、尿漏れや性交痛にも効果を発揮します。

美容クリニックにおける施術を受ける場合は、自分のお悩みに対する施術ができる医院を選びましょう。治療前には医師と十分にすり合わせを行い、完成イメージやダウンタイムの長さ、感染症のリスクなどについて理解した上で慎重に検討しましょう。

美容クリニックの施術以外でのケア

美容クリニックの施術以外に、自宅でできるホームケアと婦人科形成(女性器形成)について紹介します。

◎ホームケア

膣内環境を良好に保つために自宅でできるケアには以下のようなものがあります。

▼膣内環境の改善

腸内フローラと同じように、膣内にも数多くの細菌が存在し「膣内フローラ」を形成しています。膣内に存在する善玉菌と悪玉菌のバランスが乱れると膣内環境が悪化してしまうことに……。

健康な女性の膣内フローラの75%~95%を占める「デーデルライン桿菌」はとてもデリケートで、抗生物質の服用やストレスなどで減少すると考えられています。膣内フローラのバランスを保つために、日頃から良質な食事や睡眠など規則正しいを意識し、ストレスを溜めないように過ごしましょう。また、乳酸菌の経口摂取が膣内フローラを整えるという報告もあります。

これに加えて、膣の過度な洗浄を控えることも重要です。ニオイやおりものが気になる方はこれらの習慣を心がけてみましょう。

▼膣トレ

肌や髪と同様に、膣も年齢を重ねるごとに老化します。そのため、日々のお手入れやトレーニングで膣をケアしていくことが大切です。

出産や老化によって現れる、膣のお悩みの多くは「膣のゆるみ」。膣の周りは骨盤底筋によって支えられているため、骨盤底筋を鍛えることで膣を引き締めることができます。自宅でも簡単にできるストレッチなので、毎日の習慣に取り入れていきましょう。

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▼デリケートゾーンのお手入れ

近年、フェムテック(Female:女性とTechnology:テクノロジーをかけあわせた造語)の進歩やセクシャルケアの浸透によって、デリケートゾーンのお手入れに対する意識も変化しています。専用のケア商品が数多く流通していますが、誤った使い方をしているかもしれません。正しいお手入れ方法を学び、デリケートゾーンへのケア意識を高めていきましょう。

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◎婦人科形成(女性器形成)

膣の形や色味などの見た目、膣のゆるみや機能面についてのお悩みは、婦人科形成(女性器形成)による外科治療で改善できるケースもあります。

パートナーからの指摘で女性器にコンプレックスがある方や、他の人と違うのではないかと不安になっている方は、一度専門機関を受診し、医師に診察してもらうのがよいかもしれません。

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ホームケアと美容医療をうまく活用してデリケートゾーンの悩みを解消

美容クリニックの施術はホームケアより即効性があり、婦人科形成(手術)と比べるとダウンタイムが少なく済むのが特長です。そのため、高い効果を求めながらも手術に抵抗がある方におすすめできます。自分自身が快適に過ごせるようになるだけでなく、パートナーとの関係も良好になるなど、さまざまな効果を感じられるでしょう。

しかし、美容クリニックでの施術にまかせっきりでホームケアを怠ってしまうと、ニオイやムレ、おりものなどの悩みが生まれてしまうこともあります。正しいホームケアと規則正しい生活を心がけ、膣内環境をしっかり整えていきましょう。

監修医師

山村 菜実
東京美容クリニック

東京美容クリニック 理事長

山村 菜実

略歴
東京女子医科大学医学部医学科 卒業
東京慈恵会医科大学病院 勤務
東京美容クリニック 青山本院 院長
東京美容クリニック 理事長
資格 / 所属
日本美容皮膚科学会正会員、日本産科婦人科学会専門医
日本抗加齢医学会専門医、日本女性医学会正会員
日本東洋医学会正会員、日本人類遺伝学会正会員、日本医師会認定産業医