大鵬薬品工業株式会社から東京美容クリニック 山村菜実理事長に依頼をし、いただいたコメントを編集して掲載しています。
PMS(月経前症候群)は“Premenstrual Syndrome”という英語の略称です。 月経(生理)のある女性なら、ほとんどの人が経験したことがある月経前の不調。月経前には、イライラしたり、落ち込んだりといった心の不調だけでなく、乳房の張りや頭痛などの体の症状が出ることもあります。
それらのPMS(月経前症候群)と呼ばれる不調を和らげるにはどんな工夫が有効なのでしょうか。PMS(月経前症候群)の原因を知り、自分に合った対処法でつらい時期を乗り切りましょう。
目次
◆PMS(月経前症候群)とは?
PMS(月経前症候群)とは、月経前に3~10日ほど続く心や体の不調のことです。不調の程度や現れ方は人それぞれですが、PMSは月経が始まるとともに症状が減弱または消失する特徴があります。
婦人科では、過去3回の連続した月経の月経前5日間に、精神的または身体的症状の1つ以上が存在し、月経開始後に症状が解消すればPMSと判断されます。PMSの症状軽減には、カルシウムが豊富な食材を取ることをおすすめします。
◎PMSの症状にはどのようなものがある?
PMSの症状は、身体症状と精神症状の2つに分けられます。症状は個人差が大きく、1つとは限りません。また、身体症状と精神症状の両方が出現することもあります。
▼身体症状
- 腹痛・お腹の張り(腹部膨満感)
- 頭痛
- 腰痛
- 関節痛・筋肉痛
- 四肢のむくみ
- 乳房の張り(乳房緊満感)・腫れ(腫脹)
▼精神症状
- イライラ
- 抑うつ
- 不安
- 眠気
- 集中力の低下
- 睡眠障害
- 自律神経症状としてのぼせ
- 食欲不振
- 過食
- めまい
- 倦怠感
心と体の不調のうち、精神症状が主体で強く出る場合は、PMDD(月経前不快気分障害)と診断されることもあります。
◎PMS(月経前症候群)の原因とは?
PMSの原因ははっきりとはわかっていません。しかし、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が深く関わっていると考えられています。
▼PMSが起きるメカニズム
排卵周期のある女性の場合、黄体期(排卵から月経までの期間)にエストロゲンとプロゲステロンが多く分泌されます。しかし黄体期の後半になると、エストロゲンとプロゲステロンの分泌量が急激に下がります。この女性ホルモンの急激な低下がセロトニンなどの脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こして、PMSの症状が生じると考えられています。
◆PMS(月経前症候群)の症状を緩和させるには?
月経前の不調で勉強や仕事が思うようにいかないと、気持ちも余計に沈んでしまいがちです。運動や食事の工夫で気持ちを切り替えながら、なるべくリラックスして過ごしましょう。
ここからは
PMSの症状を緩和させるセルフケア方法と、病院・クリニックでの治療を紹介します。
◎日常生活から出来る解消方法
まずはセルフケアでのPMSの症状対策方法を4つ紹介します。
▼有酸素運動
有酸素運動とは、酸素を使い、体内の糖質や脂質をエネルギーとして用いる運動です。筋肉への負荷は比較的軽く、規則的な動きが繰り返されます。有酸素運動の代表例としては、ジョギング、ウォーキング、サイクリング、水泳、エアロビクスなどが挙げられます。
この有酸素運動は、PMSの症状改善にも効果があるという報告があります。適度な運動はストレスの解消にもつながるため、積極的に取り入れましょう。
▼バランスの良い食事
毎日の食事とホルモンバランスには深い関係があります。食事では五大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル)をバランス良く摂ることを意識しましょう。忙しくてカップ麺や菓子パンなどの食事を選びがちな方は、ランチにヨーグルトやカットフルーツを追加したり、夕食に野菜の小鉢などをプラスしたり、できることから始めてみてください。
中でも、タンパク質は健康を保つために普段から意識して摂りたい栄養素のひとつ。肉や魚にはタンパク質のほかに鉄や亜鉛、ビタミンB6などPMS症状の緩和と関係の深い栄養素も豊富に含まれています。また、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル豊富なナッツ類も積極的に摂ると良いでしょう。
▼カフェイン・アルコール・喫煙を控える
コーヒーや緑茶などのカフェインを多く含む飲み物や飲酒、たばこの喫煙は、イライラやむくみ、緊張感、不安などを高めるおそれがあります。PMSの症状を悪化させる可能性があるため、できるだけ控えましょう。
▼腸内環境の改善
PMSの症状には腸内環境にも関連があるという報告もあります。腸内環境の改善で少しでもPMSを緩和していきましょう。
・腸内環境改善方法
腸内フローラを整える手段のひとつに、食事で乳酸菌を摂取することが挙げられます。乳酸菌には腸内で悪玉菌の繁殖を抑え、腸内環境を整える働きがあります。
乳酸菌はヨーグルト、乳酸菌飲料、納豆、漬物などの食品から摂取できます。
・乳酸菌は「膣」内環境の改善にも役立つ
腸内フローラの改善に役立つ乳酸菌ですが、実は膣内環境を整える働きもあります。なかでも乳酸菌「ラクトバチルス・ラムノーサスRosell-11」と「ラクトバチルス・ヘルベティカスRosell-52」は、膣内の悪玉菌の増殖を抑え、膣内環境を正常に保つ働きがあることがわかっています。
この2つの乳酸菌をブレンドした「女性に届ける乳酸菌Rosell(ローゼル)-11&52」は、膣内の善玉菌であるデーデルライン桿菌の増加をサポートし、膣内を健康な状態にキープすることが期待されています。
◎クリニックでの治療
セルフケアで様子を見てもつらい症状が続く場合は、医療機関の受診も検討しましょう。病院やクリニックでは以下のようなカウンセリングや薬による治療を行います。
▼カウンセリング
専門家によるカウンセリングは、自分の体質やPMSの傾向を知ることに役立ちます。症状が重い場合には月経前などの仕事の負担を減らすなど、PMSとの付き合い方を変えることで悩みを解消できるケースも。病状や症状の把握のために、症状日記をつけることをすすめられる場合もあります。
▼薬による治療
薬による治療は、女性ホルモンの変動をなくす排卵抑制療法と、症状に対する治療、症状や体質に合わせた漢方薬の処方の3つに大別されます。
・低用量ピルを使ったホルモン療法
女性ホルモンの大きな変動をなくして症状を改善させるために、一時的に排卵を止める治療法です。低用量ピルや低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)などが処方されます。これらの薬は服用を中止すると排卵が回復し、その後の妊娠には影響を与えません。
・SSRI(抗うつ剤)での治療法
精神症状や自律神経症状が重い場合は、SSRI(抗うつ剤)や精神安定剤などが処方されることもあります。
その他、痛みに対して鎮痛剤、むくみなどに対して利尿剤など、症状に合わせて薬を処方されることがあります。
・漢方薬療法
体質や症状により処方される漢方薬は異なりますが、次のような漢方薬がよく選択されています。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
◆PMS(月経前症候群)を理解して、自分をいたわろう
PMS(月経前症候群)は個人差の大きい病気です。気分をうまくコントロールできず自分を責めてしまいがちですが、こうした不調は誰にでも起こること。病状を理解し、対処していくことで、症状と向き合っていきましょう。セルフケアを続け、クリニックでの治療も検討しながら、食習慣の一環として乳酸菌を積極的に摂取してみてはいかがでしょうか。
※乳酸菌「Rosell-11&52」は本記事内の疾患を解消することが実証されたものではありません。
監修医師
東京美容クリニック 理事長
山村 菜実
東京慈恵会医科大学病院 勤務
東京美容クリニック 青山本院 院長
東京美容クリニック 理事長
日本抗加齢医学会専門医、日本女性医学会正会員
日本東洋医学会正会員、日本人類遺伝学会正会員、日本医師会認定産業医