女性特有のトラブルを改善!「膣ケア」とは?

加齢とともに女性ホルモンの分泌が低下し、膣の潤いがなくなり、乾燥し萎縮してしまうことがあります。これが「膣萎縮」と言われる症状です。こうした更年期前後のトラブルを防ぐためにも、予防の観点から膣ケアが注目されています。

とは言うものの、日本ではデリケートゾーンにまつわる話をするのは恥ずかしいと感じる方が多く、どうすればいいのかわからないという方も少なくありません。そこで今回は、「膣ケア」にスポットを当て、その重要性や効果、具体的なケア方法などをご紹介します。

◆イマドキの膣ケアとは?

「膣ケア」と言えば「デリケートゾーンを清潔にすること」くらいしか思い浮かばない方も少なくないのではないでしょうか。ここでは、膣ケアが重要である理由を説明します。

◎「膣」も年齢とともに衰える

女性ホルモンが盛んに分泌されるのは20~30歳。それを過ぎると減少し始め、40歳を過ぎる頃から急激に減っていきます。女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種がありますが、そのうち膣の状態に大きく影響するのはエストロゲンです。

エストロゲンは、卵胞を成熟させたり排卵を促したりするだけでなく、乳房の発達など女性らしい身体作りを助けます。さらに、骨を強くしたり善玉コレステロールを増やしたりといった役割のほか、コラーゲンの生成にも関与しているため髪や肌のハリや潤いを保つという働きもあります。

そのため、エストロゲンが減少してくると膣内の潤いもなくなっていきます。すると膣の表面の細胞が乾燥した状態になるため、膣壁の粘膜が薄くなっていきます。

お肌も、乾燥して薄くなった状態を放っておくと老化が進んでシワやタルミを引き起こします。それと同じで、膣も何も手当てをしなければ、やがて老化が進んで膣壁はどんどん薄くなり、そのうち膣自体が固くなって萎縮する「膣萎縮」を引き起こすリスクが高まります。

また、筋肉などの身体は使わないとどんどん痩せて動かなくなっていきますが、膣も使わないでいると膣の萎縮化に拍車をかけることに。更年期では、このような状態になってしまった膣が原因で起こるトラブルが多いのも事実です。

そこで注目され始めたのが「膣ケア」です。膣萎縮を防ぎ、快適な更年期を迎えるために、積極的に膣を鍛えることをすすめるセミナーが開かれたり、膣ケアの重要性についてメディアでも取り上げられたりするほど、昨今注目が集まっています。

◎膣ケアを怠ると起きやすいトラブル

更年期に何のケアもしないままでいると、膣が乾燥してこすれやすくなり、性交時の痛みや出血を引き起こしたりします。また、潤いがなくなることで自浄作用も弱まり、膣炎を引き起こしてかゆみなどが生じたりすることも。

「膣壁」は多数の毛細血管が張り巡らされています。血流をよくする働きの女性ホルモンが減少すると、膣内の血流も悪くなります。すると全身の血流も悪くなり、それによって頭痛や肩こりなどが表れることも。場合によっては、腰痛が悪化する可能性もあります。

血流が悪いと身体の冷えを引き起こし、それがリンパの流れを悪くします。膣炎ではないのにデリケートゾーンのニオイがきつくなったり不快なニオイに変わったりした場合、血流やリンパの流れが悪くなっている可能性も。血流やリンパの流れが滞ると、老廃物が排出されず、それが悪臭を放って汗や分泌物のニオイを変化させてしまうのです。

膣ケアを怠るとこういったトラブルにつながりやすく、身体に不調が表れるとイライラしたり憂鬱な気分になったりと、精神的にも悪い影響を及ぼします。膣の健康は心身の健康とリンクしていると言えます。ぜひ早いうちから膣ケアに取り組んでみましょう。

◆膣ケアによって得られる効果

女性ホルモンのバランスは、自律神経の働きを高めることで保たれますが、それには適度な運動が欠かせません。そういった意味でも、膣に刺激を与える膣ケアによって女性ホルモンのバランスを整えるという効果も期待されています。

以下では、膣ケアによってもたらされる効果と具体的なケアの方法をご紹介します。

◎更年期・閉経

膣ケアにより膣を刺激することで分泌物(おりもの)が増え、膣内の自浄作用が維持されます。これにより、更年期や閉経後に起こりやすい膣やデリケートゾーンの炎症・痛み・かゆみなどのトラブルを防ぐ効果が期待できます。

◎心身の健康

身体と心はリンクしているため、デリケートゾーンの不快感や違和感、頭痛や肩こりなどがあると、気分も落ちやすくなります。膣ケアでそういった身体上のトラブルを改善することで、精神的な不調の改善も期待できます。

◎妊娠、出産

膣ケアで女性ホルモンのバランスが保たれると、子宮内の状態も良好に保たれ、妊娠しやすくなると言われています。また、潤いと弾力性や伸縮性がある健康的な膣が維持されやすく、出産時の安産につながりやすくなるといった効果も期待されています。

◎美容

膣ケアによって膣内の血流がよくなると全身の血流もよくなります。すると新陳代謝がアップし、肌の細胞が生まれ変わる「ターンオーバー」もスムーズに行われるようになり、美肌作りにも一役買います。また、冷え性が改善するとリンパの流れもよくなるため、老廃物が流されることで肌のトーンがアップし、若々しい印象を保つことも可能です。

◆基本のケア方法

膣ケアには次の4つの基本があります。ケアを始める前に、安全に膣ケアを行うため爪の長さをチェックしましょう。デリケートゾーンは柔らかくて傷つきやすい部分。爪は短く、そして爪の中まできれいに洗っておくのがポイントです。

①デリケートゾーンを清潔にする

入浴時、膣内に雑菌が入りこまないよう湯船に入る前に弱酸性のデリケートゾーン専用ソープを使ってデリケートゾーンを洗います。ポイントは、決してこすらず泡で包みこむようにして優しく洗うこと。また、膣内には外部からの細菌感染を防ぐ役割がある「デーデルライン桿菌」という善玉菌が存在しているので、膣の中までゴシゴシと洗うのは避けましょう。

②代謝をアップさせる

湯船の中で代謝をアップさせるためのマッサージを行います。まず湯船に入る前にデリケートゾーン専用オイルを塗って、そのまま湯船に浸かります。そして湯船の中でデリケートゾーンに手または柔らかくて薄いタオルをあてて、優しくもむようにマッサージします。時間は5分くらいが目安です。

③保湿のための手入れをする

お風呂から上がったら、膣の中から潤うようにデリケートゾーンをオイルパックします。コットンを数枚重ね、そこに肌専用のセサミオイルなどを小さじ1ほどしみこませて、デリケートゾーン(外陰部)にあてます。時間は10分ほど。湯せんをしておくと心地よさがアップします。

④骨盤底筋を鍛える

骨盤底筋エクササイズを取り入れて、骨盤のインナーマッスルを鍛えます。骨盤底筋は、子宮や膀胱を含む下腹部の内臓を支えている大切な筋肉。ここを鍛えることで膣内の弾力性・柔軟性・伸縮性を高めることができます。

●骨盤底筋エクササイズのやり方

    1. 仰向けになり、足を腰幅に開いて両膝を立てる

    2. 両手は脇の横に置き、息を吸いながらお尻をゆっくりと上げていく

    3. この際、肛門をぎゅっと閉める感じでお尻を引きしめること

    4. お尻を上げた状態で約10秒キープ

    5. 息を吐きながら背骨の上の方からゆっくりと身体を下ろしていく

    6. これを5回繰り返す

◆「刺激すること」が最大の膣ケア

膣に限らず、人間の身体の器官は長い間使わないと機能しなくなってしまいます。ことに膣は50歳前後に閉経を迎えた後、何もせずに放置しておくと、1~2年で萎縮してしまうと言われています。そうならないために必要なのは、「膣を刺激する」こと。日頃から、セックスとともに膣ケアで膣の中を刺激する習慣をつけましょう。

以下では、日頃から取り入れやすい「オイルマッサージ」の方法と専用アイテムをご紹介します。

◎意外と簡単!「オイルマッサージ」をやってみよう

膣の中のオイルマッサージと聞くと、ちょっと抵抗があるかもしれませんが、やってみると意外と簡単です。以下の流れでトライしてみましょう。

    1. お風呂上りにオイルパックを行った後(「③保湿のための手入れをする」参照)、そのオイルを人差し指と中指にたらします。

    2. その指をゆっくりと膣の中に、第二関節くらいまで差し込みます。

    3. 最初のうちは膣壁に沿ってぐるりと円を描くように指を回すだけでOKです。

    4. 慣れてきたら、1~2分くらい、膣の中の形状を確かめるような感覚で優しくマッサージします。

上記のマッサージに加え、膣口の周囲もマッサージしましょう。これを毎日、あるいは少なくとも週2~3回、行うことをおすすめします。すると、膣が刺激されて分泌物が増えてきます。さらに膣の中の血流がよくなって潤いも保たれるため、閉経後の膣の萎縮を予防・改善する効果が期待できます。

◆デリケートゾーンケア専用のアイテムも続々

膣ケアをサポートするデリケートゾーン専用のアイテムは、通販やドラッグストアでも購入できるため、手軽にスタートできるのがうれしいところ。たとえばデリケートゾーン専用ソープは、「保湿成分を含んだもの」「植物由来のもの」「オーガニックのもの」など好みに合わせて選べます。

洗顔には洗顔料を使うのと同じで、デリケートゾーンにも専用のソープを使うのがベターです。フォームタイプ以外のリキッドやジェルタイプの場合は、泡立ちのよさもチェックポイントとなります。

デリケートゾーン専用の保湿用ミルクやジェルは、お風呂上りにデリケートゾーンを保湿するのに取り入れてみましょう。ベタつきやヘアの絡みが気になる場合は、サラっとしたテクスチャーのものを選ぶのがおすすめです。デリケートゾーンの黒ずみの予防に効果が期待できるケア商品もあります。

オイルマッサージ用のオイルは、マタニティ用オイルでも代用できますが、新たに購入する場合は肌用の「セサミオイル」か「スイートアーモンドオイル」を選んでみましょう。

また、デリケートゾーンチェック用の手鏡も売られています。膣ケアは、自分の大切なところを自分の目で見ることから。お手入れによってどのように変化していくかもチェックできるので、日頃のケアアイテムに加えてみてはいかがでしょうか。

◆まとめ~内側から膣ケアをサポート~

今、注目されつつある膣ケアは、年齢を重ねるにつれて増えてくるデリケートゾーンの問題だけでなく、更年期障害と言われている心身のさまざまな不調を改善する効果も期待できます。そのため、若い女性だけでなく、これから更年期を迎えるという女性にも取り入れてほしい習慣と言えます。

膣の中には「デーデルライン桿菌」という乳酸菌の一種の善玉菌が常駐していますが、そういった乳酸菌を増やすことで、雑菌の増殖を防ぎ膣内環境を良好に保つことができます。

手軽に取り入れるサプリメントの一つ、乳酸菌「Rosell(ローゼル)11&52」は、デーデルライン桿菌と同じラクトバチルス属の乳酸菌である「ラクトバチルスラムノーサスRosell-11」と「ラクトバチルスヘルベティカスRosell-52」という2種類の乳酸菌をブレンドしたもの。デーデルライン桿菌の力強いサポートをすることで、膣内の環境を健全に保つ効果が期待されています。これを機に、外と内の両面から「膣ケア」を行ってみませんか?

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