膣内環境に影響を与えるストレスとバイオリズムの関係

かゆみやおりものといったデリケートゾーンの悩みを抱いていながらも、誰にも相談できずに悶々としている方は意外と多いのではないでしょうか。おりものの異常は、膣内環境が乱れているサインかもしれません。

現代の働く女性は仕事やプライベートで強いストレスにさらされたり生活習慣が乱れたりして、ホルモンバランスが崩れがちに。そうしたストレスは膣内環境に影響を与えてしまいます。そこで今回は、膣内環境を正常に保ち、不快な症状を改善するためのストレス対策とケア方法、3つのバイオリズムについてご紹介します。

注意したい「おりもの」は?正しいケアで膣内環境を整えよう

◆実は多くの人が「デリケートゾーン」の悩みを抱えている

多くの方が抱えるデリケートゾーンの悩み。具体的には、どのような症状に悩んでいるのでしょうか。

おりものによるニオイやかゆみ

デリケートゾーンの悩みは、やはりおりものに関するものが圧倒的な数を示しています。たとえば、「おりもののニオイが気になるようになった」「おりものが増えたせいで、デリケートゾーンがかゆくて困っている」「おりものに色がつくようになった」といったような悩みが多く聞かれます。

おりものには外部から細菌が侵入してくるのを防ぐための膣の自浄作用の働きがあるので、おりもの自体は悪いものではありません。正常な状態のおりものの場合、多少量が増えても心配する必要はありません。では、どういったおりものが要注意なのでしょうか。

おりものの正常な状態

正常なおりものは、透明または乳白色のやや粘り気のある分泌物。ヨーグルトのようなちょっと酸っぱいようなニオイがします。女性ホルモンの分泌も大きく影響しており、排卵日はとくに卵の白身のようなトロトロとした感じで量も多くなります。

注意したいおりものの状態

次のような症状が見られる場合は注意が必要です。あてはまる項目をチェックしてみましょう。

おりもの自己診断チェックリスト

  1. ここ最近ずっと、おりものの量が増えている
  2. おりものから悪臭がする
  3. かゆみがひどい
  4. おりものに変な色がついている
  5. おりものの状態が水っぽい
  6. おりものの状態がドロドロ、またはカッテージチーズのようだ
  7. おりものが黄緑っぽい色をしていて泡状

参照元
デリケートゾーンにも乳酸菌が必要!?乳酸菌を取り入れて“膣内フローラ”を整えよう – OZmall
~女性たちの「オリモノ問題」を調査~ 専門家が教える「膣内フローラ」対策とは? | トレンド総研のプレスリリース | 共同通信PRワイヤー

●「1・2・4・5」のいずれかにチェックが入った場合

「細菌性膣炎」の可能性があります。細菌性膣炎は膣内環境の乱れが原因で起こることが多いため、膣内環境を整えることがポイントです。膣内環境の整え方は以下で紹介しますが、セルフケアで改善されない場合は、自己判断せずに一度きちんと婦人科で診てもらいましょう。

●「1・3・6」のいずれかにチェックが入った場合

「膣カンジダ」の可能性があります。もともとカンジダ菌自体は常在菌で、身体の皮膚や口腔内、消化器官、そして女性の膣の中にも存在しています。ところが、体力や免疫力が低下するとそれが繁殖して悪さをし始めるのです。膣内環境が乱れると発症しやすいため誰でもかかるリスクがありますが、早めに婦人科を受診することをおすすめします。

●「1・2・7」のいずれかにチェックが入った場合

「膣トリコモナス症」の可能性があります。とくに魚の腐ったような生臭いニオイがする場合は要注意。少しでも気になる症状があった場合は、医師に相談することをおすすめします。病院の診察を受けましょう。

おりものの異常は、膣内環境の乱れを知らせるサインです。おりものの異常を放置してしまうと、増殖した悪玉菌や外部から侵入した病原菌が膣内から子宮、卵管、骨盤へと運ばれ、「子宮内膜炎」「卵管炎」「骨盤腹膜炎」などを引き起こす可能性があります。

また、妊娠中の方は、流産や早産による低出生体重児の出産につながることも報告されています。「おりものがいつもと違う」と気づいたら、早めに対処するようにしましょう。

◆膣内環境の悪化を防ぐ3つのバイオリズム

おりものの異常は、膣内環境の乱れを知らせるサインです。では良好な膣内環境とはどういう状態を指すのでしょうか。ストレス・バイオリズムとの関係性について見ていきましょう。

膣内環境「膣内フローラ」とは?

腸内には善玉菌や悪玉菌、日和見菌(中間菌)など、数多くの腸内細菌が住んでおり、それらを顕微鏡で見るとお花畑のように見えることから「腸内フローラ」と呼ばれています。それと同じように膣内にもさまざまな菌が住みついていて、膣内環境「膣内フローラ」を作っています。

膣内細菌の善玉菌を代表するのは「デーデルライン桿菌」と呼ばれている乳酸菌の一種で、膣内細菌の75~95%を占めています。このデーデルライン桿菌は、膣内のグリコーゲンをエサとして摂取し乳酸を生成します。膣内はその乳酸によって弱酸性に傾くため、酸性を嫌う悪玉菌の増殖を防ぐ効果があります。このように膣内環境は、善玉菌のデーデルライン桿菌によって良好に保たれているのです。

膣内環境とストレス・バイオリズムの関係性

働く現代女性はつねにストレスにさらされています。強いストレスや生活の乱れはホルモンバランスの乱れを引き起こし、デーデルライン桿菌の活動を弱めてしまいます。すると、膣内の自浄作用も低下し、雑菌が入りやすくなって感染症などのさまざまな不調を起こしやすくなるのです。

また、生理中はデーデルライン桿菌が減少するため膣内環境が乱れやすくなります。そこに生理前後のイライラや気分の落ち込みなどが重なれば、さらに膣内環境の悪化につながります。それらを防ぐためにも、「身体」「感情」「知性」の3つのバイオリズムで自身のコンディションを知ることが大切です。身体が疲れているときや感情の起伏が激しいときはしっかりと休息するなど、その日の体調に合わせて正しくケアしていきましょう。

◆膣内環境を良好に保つには

では、膣内環境を良好に保つにはどのようなことを心がけたらよいのでしょうか。ここでは、膣内環境を整える生活を送るためのポイントをご紹介します。

心身全体の健康にも配慮する

膣内環境の善玉菌であるデーデルライン桿菌はとてもデリケート。過労やストレス、睡眠不足、風邪をはじめ、病気になったときやケガをしたときに飲む抗生物質の服用などですぐに減少してしまいます。

日頃から疲れやストレスをためないようにしたり、規則正しい生活を送って睡眠不足にならないように気をつけたりすることで、膣内環境の悪化を防ぐことができます。なかでも毎日の「食事」は大切です。善玉菌の乳酸菌が好むのは「食物繊維」で、悪玉菌が好むのは「動物性たんぱく質」。したがって、野菜中心の食生活に切り替えることもポイントです。

正常な膣内環境を保つための正しいケア方法

おりものが増えると、ニオイが気になって膣の中まで石鹸でゴシゴシと洗ってしまいがちです。膣内の悪玉菌だけでなく善玉菌まで洗い流してしまうと、膣内環境が乱れたり、石鹸の刺激で炎症を起こしたりするリスクがあるためおすすめできません。

洗うときは、ぬるま湯でやさしく流す程度で十分です。生理中など、どうしても気になる場合は刺激の少ない弱酸性の石鹸を使って、外陰部をこすらずに泡で包み込むようにして洗うとよいでしょう。

タンポンを使用する場合、膣の中にタンポンを長時間入れたままにしておくと、溜まった血液によって膣内が弱アルカリ性に傾いて悪玉菌が増えやすくなるため、こまめに入れ替えるようにしましょう。

また、人によっては化学繊維の下着によってアレルギー症状が引き起こされ、かゆみが生じることもあります。しめつけるタイプの下着はムレによって症状を悪化させる場合もあるので、通気性がよく化学繊維ではない素材の下着を身に着けることをおすすめします。

最近はサプリで手軽にケアも

トレンド総研発表の「オリモノ」に関する意識・実態調査によると、「デリケートゾーンの悩み(症状)はできれば自分で治したい」と答えた人は86%にものぼりました。このように、デリケートゾーンの悩みは人に相談しづらく、なかなか病院に行けないという方もいるのではないでしょうか。

「まずはセルフケアから始めたい」という方は、ドラッグストアなどで手軽に購入できるデリケートゾーン専用のケア用品や塗り薬などをチェックしてみましょう。また、日頃から無理なく取り入れたいという方は膣内環境を整えるための乳酸菌サプリメントがおすすめです。

◆まとめ

膣の中にも善玉菌のデーデルライン桿菌という乳酸菌が存在し、腸内の善玉菌の乳酸菌やビフィズス菌などと同じように、環境を良好に保つために悪玉菌と戦っています。このデーデルライン桿菌は、非常に繊細な乳酸菌。食生活だけでなく心身の状態にも敏感に反応し、すぐに影響を受けてしまいます。

また、デーデルライン桿菌は生理前にも減ってしまうため、膣内環境の乱れを引き起こしやすくなります。女性の身体はとてもデリケート。「身体」「感情」「知性」の3つのバイオリズムで自身のコンディションを知り、その日の体調に合わせて正しくケアしていきましょう。


監修:海老根真由美さん
1997年埼玉医科大学医学部卒業。埼玉医科大学総合医療センター 総合周産期母子医療センター母体胎児部門にて病棟医長を就任。
2013年6月からは、白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開業。
所属:日本産科婦人科学会・日本母性衛生学会・日本周産期・新生児学会・周産期メンタルヘルス研究会


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