おりものの役割
おりものは、帯下(たいげ)とも呼ばれ、卵管や子宮、膣からの分泌物や古い細胞などの老廃物、外陰部の皮脂腺から出る汗などが混じり合った粘性のある液体のことです。
おりものが分泌される膣は、外陰部と子宮の入り口をつなぐ器官です。肛門のすぐ近くにある構造のため、雑菌が侵入しやすくなっています。
以下では、おりもののおもな役割を見ていきましょう。
- 膣内を清潔に保つ自浄作用
おりものにはデーデルライン桿菌という善玉の乳酸菌が含まれており、通常は酸性です。 排卵期以外は、酸性のおりもので膣内を酸性に保ち、酸性環境に弱い大腸菌などの細菌の侵入や増殖を防ぎ、膣内を清潔に保ちます。
- 受精を助ける作用
排卵期のおりものは性質が変わります。膣内をややアルカリ性にすることで、酸性に弱い精子の進入を助け、精子をスムーズに子宮に到達させます。
- 膣内に潤いを保つ作用
膣内の潤いを保って粘膜を守ります。
おりものは不快なものと思われがちですが、「膣内を雑菌から守る」や「妊娠しやすい状態をつくる」、「膣の粘膜を潤す」など、重要な役割を持っているのです。
正常なおりものについて知ろう
正常なおりものは、透明~乳白色でやや粘り気があるのり状で、少し酸っぱいにおいがします。においのもとは、デーデルライン桿菌という善玉の乳酸菌です。また、下着がおりものによって黄色っぽくよごれることがありますが、正常なおりものであっても時間が経つと変色することがあります。
変化するおりものの量や性状
おりものは、女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の周期や年齢により量や性状が変化します。月経直後は、もっとも量が少なく、さらりとした粘り気のない状態に。排卵期が近づくとしだいに量が増え、排卵直前は粘り気があり透明な卵白のように糸を引くような状態になります。これは、排卵期に精子が子宮内に入るのを助け、妊娠しやすくするための生理的な変化です。
排卵期後は、おりものの量は減りはじめ、色も白濁した状態になります。月経前になると量は少なくなります。おりものの状態は個人差があり、とくに量にはかなり差があります。また、気候や精神状態でも変化します。
おりものは女性ホルモンと深く関係するので、女性ホルモンの働きが活発で、妊娠可能な年齢にあたる10代後半~40代前半はおりものの量は多く、逆に女性ホルモンの分泌が低下する40代後半以降はおりものの量は減少します。
おりものの変化は体の異常を知らせるサイン
おりものの量が単純に多いだけでは異常とは言えません。しかし、おりものの変化は膣内の異常と直結しています。
おりものが下記のような状態になっている場合は、何らかの感染症が発症している可能性があります。
- 急におりものの量が増えた
- おりもののにおいがきつい
- おりものの色が黄色や茶色、緑、灰色など、いつもと違う
- おりものが泡立っている
- おりものが白くてヨーグルト状やカッテージチーズ状になっている
また、生理時以外におりものに血液が混じっている場合は、子宮頸がんや子宮体がんなど重大な病気が潜んでいる可能性もありますので、異常を感じたら自己判断せず医療機関を受診するようにしましょう。
おすすめ記事:参考資料
(社)日本家族計画協会、ウーマンズヘルス(http://www.jfpa.info/wh/body_information/detail/index.php?aid=56 )
八田真理子監修:ハピちつ,東京:(株)光文社;2018;p26-30