がんの可能性は?50代以降に見られるおりものの変化

「50歳を過ぎた頃からデリケートゾーンがカサカサ乾燥し始めて不快……」「最近、おりものに血が混じることがあるけど、何か悪い病気なのかしら……」

ミドル世代を迎えた女性の中には、このような悩みを抱いている方が多く見られます。ひょっとしてそれは更年期特有の症状かもしれません。今回は、更年期によく見られる身体の変化について、その理由や対処法などを解説していきます。

おりものの異常について、病気によるものかどうか判断するポイントもご紹介するので、気になる症状がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

◆更年期は生殖機能の低下により身体の変化が起こりやすい

更年期にさしかかると、体調にさまざまな変化が表れることがあります。これは病気ではなく、性ホルモンの減少によってもたらされるものです。ここでは、更年期とは一体何なのか、更年期になると身体にどういった変化が生じるのか、それぞれについて詳しく解説します。

◎「更年期」とは?

更年期とは、女性の場合、閉経の前後5~6年の期間を指します。平均的な閉経年齢は50歳と言われているので、だいたい45~55歳が更年期にあたると考えてよいでしょう。ただし個人差が大きいため、40歳から更年期の症状が表れる方もいれば60歳を過ぎても更年期の症状が続く方もいます。

更年期は女性だけに訪れるものではなく、男性にも更年期はやってきます。この時期に入ると、女性の場合は卵巣から出されるエストロゲンという女性ホルモンの減少が見られ、男性の場合は精巣から出されるテストステロンという男性ホルモンの減少が見られます。

更年期にこういった性ホルモンの減少によって引き起こされる体調の変化を「更年期障害」と呼びますが、男性の場合はテストステロンがゆっくりと減少していくため、女性のようなはっきりとした更年期障害は起こりにくいと言われています。

また、男性の場合はどちらかと言うと年齢による体力の減少によってイライラしたり憂鬱になったりと、精神的にも不安定になることが多いようです。女性の場合も、更年期に入ったからといって、必ずしも更年期障害が表れるわけではありません。中には、体調の変化を自覚することなく年を重ねていく方もいらっしゃいます。

◎年齢とともに変化する女性の身体

エストロゲンという女性ホルモンの平均分泌量は、12~18歳の思春期から増え始め、生殖機能が完成する20歳頃から30歳までの間がもっとも多くなります。30歳を過ぎると減少し始め、閉経を迎える約5年前から閉経後5年前後の更年期の間に急激に減っていきます。

エストロゲンの働きは、乳房の発達などの女性らしい身体や妊娠しやすい身体作りを促進するだけではありません。コラーゲンの生成を促してハリやつやのある肌作りにも関係しています。骨密度を維持したり、強くて柔軟な血管を作って動脈硬化を抑制したり、善玉コレステロールを増やしたりするのにも一役買っています。

そのため、更年期に入ってエストロゲンが急激に減少してくると、肌のトラブルや骨粗鬆症、動脈硬化や高脂血症といった、若い頃には見られなかった身体の不調が表れてくるのです。

また、エストロゲンは子宮の入り口や膣内で作られる分泌物「おりもの」を増やして膣内の潤いを維持する働きもあります。このエストロゲンが減少してくると、膣内やデリケートゾーンが乾燥して膣炎を引き起こしたりかゆみが生じたりします。

エストロゲンは卵巣から出されるホルモンで、卵巣は脳下垂体のコントロール下にあります。したがって、更年期に入り卵巣の機能が低下してエストロゲンの量が減ってくると、下垂体が卵巣を働かせようとして性腺刺激ホルモンを出します。つまり脳が興奮状態になって、自律神経の乱れを引き起こしやすくなるのです。これが、のぼせやほてりなどのホットフラッシュをはじめ、発汗や不眠、手足の冷え、目まい、頭痛などの身体的不調のほか、イライラや憂鬱などの精神的な不調といった更年期障害をもたらすと考えられているのです。

◆更年期や閉経後に起きやすいおりものの異常

更年期や閉経後にエストロゲンが減少して生じるデリケートゾーンの問題として、おりものの異常が多く挙げられています。更年期や閉経後によく見られるおりものの異常とはどういったものなのか、以下からご説明します。

◎更年期・閉経後のおりものの特徴とは

更年期や閉経後に見られるおりものの異常は、主に「萎縮性膣炎」が原因で起こると考えられています。萎縮性膣炎は、おりものが減って自浄作用が弱くなるうえに、悪玉菌の増殖を防ぐデーデルライン桿菌が減ることで雑菌が繁殖して起こる更年期特有の膣炎です。萎縮性膣炎にかかった場合、おりものの色とニオイに異常が生じます。詳しくは以下をご覧ください。

◎年齢とともにおりもののニオイはきつくなる?

更年期に入ると、年齢とともにおりもののニオイがきつくなったり色が濃くなったりといった異常が見られるようになります。また先述したように、急激にエストロゲンが減ることで膣内の環境が悪化しがちに。それによって膣内やデリケートゾーンに雑菌が繁殖しやすくなるのです。

膣内が良好な状態のときのおりものの色は乳白色か透明。ニオイも無臭または少し酸っぱいようなニオイであまり気になりません。しかし、雑菌が繁殖したおりものは黄色っぽい色がつき、ニオイもきつくなってきます。このようなおりものの異常に気づいたら、萎縮性膣炎の可能性が高いと言えます。治療をすれば改善される病気なので、早めに婦人科を受診しましょう。

◆病気のリスクがあるおりものの特徴

更年期や閉経後のおりものの異常は、萎縮性膣炎だけでなく、他の原因が考えられる場合もあります。以下では、原因を見分ける際のポイントをご紹介します。

◎日頃からおりものの状態をチェック

おりものの状態は、膣炎や子宮がんといった病気の有無を知るための大事なサインです。日頃からおりものの状態をチェックする習慣をつけておくと、万が一、膣内や子宮に異常が発生した場合に早期発見につながります。

◎更年期・閉経後に受診したほうがいいおりものの特徴

加齢によって人の皮膚は薄くなっていきますが、それと同じで膣内の粘膜も薄くなっていきます。また、エストロゲンの減少によって膣内やデリケートゾーンが乾燥してこすれ、ちょっとしたことで出血しやすくなることも。

このように更年期や閉経後、おりものに血が混じることはめずらしいことではありませんが、水っぽいおりものが出た場合、子宮筋腫の可能性が疑われるので注意しましょう。もし大量にサラサラと流れ出るような場合は、子宮体がんや卵巣がんの恐れもあるので、すぐに婦人科を受診することをおすすめします。

◎疑われる病気の特徴と治療法

以下で紹介する病気はすべて早期発見がカギとなるので、異常を感じた場合はすぐに婦人科を受診するようにしましょう。

●子宮筋腫

【特徴】
良性の腫瘍。小さいものが複数できたり、1つでも子どもの頭くらいの大きさに育ったりする。女性ホルモンの影響で大きくなり、閉経すると小さくなる。

【症状】
・生理時に大量に出血したり、レバーのような血の塊が出たりして貧血状態になることも
・下腹部が膨れ、寝ているときに手にしこりが触れる場合も
・腹痛や腰痛が起こることもある
・おりものが水っぽくなって、血が混じったり黄色っぽくなったりする

※水っぽいおりものが大量に出る場合は子宮がんや卵巣がんの可能性もあるので要注意。

【治療法】
治療法は、内服薬によるホルモン療法と注射によるホルモン療法がある。

●子宮頸がん

【特徴】
子宮の入り口にできるがんで、40~50歳の頃に発症する場合が多い。ヒトパピローマウイルスが関与していてセックスによって感染する機会が増えていると言われている。

【症状】
・おりものが増えたり生理でないのに出血したりすることがある
・セックス時の痛みなどがある

【治療法】
治療法は手術で除去する方法、放射線療法が主な治療。

●子宮体がん

【特徴】
子宮内の子宮内膜に発生するがん。女性ホルモンのバランスが崩れることで発症すると考えられている。そのため閉経後、40歳後半から50~60歳での発症が多くなる。

【症状】
・不正出血で気づくことが多く、水っぽい茶色のおりものが大量に出る場合もある
・下腹部痛や腰痛が表れることがある
・進行すると排尿困難や排尿時の痛み、セックス時の痛みなども表れる

【治療法】
治療法は手術療法が基本。状況に応じてホルモン療法が並行して行われることがある。

●卵巣がん

【特徴】
卵巣にできるがん。40~60歳に多く見られるが、10代から老年期に入った女性まで幅広く発症する。自覚症状がないため発見が遅れることが多い。

【症状】
・水っぽいおりものが大量に出る
・腹部膨満や腹痛などがある
・消化器症状

【治療法】
治療法は手術療法、および抗がん剤治療法。

◆まとめ~健康な膣内環境を目指して~

更年期である50代は、女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少することでさまざまな身体の不調が表れます。中でも、膣やデリケートゾーン、子宮などに起きる不調は、おりものの異常によって気づくことが多いため、日頃からおりものの状態をチェックする習慣をつけておくとよいでしょう。

ホルモン療法によって多くの不調は軽減されますが、日頃から膣内の環境を良好に保つために乳酸菌サプリメントを試してみるのもおすすめです。

その中の一つ、乳酸菌「Rosell(ローゼル)11&52」は膣内に存在する善玉菌デーデルライン桿菌と同じラクトバチルス属の乳酸菌である「ラクトバチルスラムノーサスRosell-11」と「ラクトバチルスヘルベティカスRosell-52」という2種類の乳酸菌をブレンドしたもの。膣内で悪玉菌や雑菌が増殖するのを防いで膣内の環境を健全に保つ効果が期待されています。気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。


監修:海老根真由美さん
1997年埼玉医科大学医学部卒業。埼玉医科大学総合医療センター 総合周産期母子医療センター母体胎児部門にて病棟医長を就任。
2013年6月からは、白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開業。
所属:日本産科婦人科学会・日本母性衛生学会・日本周産期・新生児学会・周産期メンタルヘルス研究会


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