細菌性膣症ってなに?症状と原因、リスクについて知る

細菌性膣症ってなに?

健常な女性の膣内には善玉菌(デーデルライン桿菌)と言われる乳酸菌が多く存在します。善玉菌が膣内のグリコーゲンを分解し乳酸を産生することで、膣内をpH3.5~4.5(※1)の酸性に保ち、酸性環境に弱い病原体の侵入や増殖を防いでいます(※2)。

細菌性膣症ってなに?

細菌性膣症とは、何らかの原因で膣内の善玉菌が減少し、逆に膣付近に存在する複数の好気性菌(大腸菌、ガルドネラ菌など)や嫌気性菌(バクテロイデス属、モビルンカス属など)が異常増殖し、膣内の細菌バランスが崩れてしまい、複数菌感染として起こる病的状態です(※3)。そのため、細菌性膣症は、原因菌が特定できないことが特徴です。

正常な膣内と細菌性膣症の膣内を比較

正常な膣内と細菌性膣症の膣内を比較

おりもので知る、細菌性膣症の症状

細菌性膣症の約半数は症状がありません。自覚症状がある場合は、下腹部痛や不正性器出血(生理時以外におりものに血液が混じっていること)を生じることや(※4)、かゆみを伴うこともあります。また、おりものについては、以下のような症状が発生することもあります。

  • おりもの量が増える
  • おりものの色が灰色になる
  • おりもの粘度が低くサラサラする
  • おりものが魚臭い(アミン臭)などおりものに変化が見られる

細菌性膣症と他の膣内感染症との違い

膣内で発症するその他の感染症には、細菌性膣症とは異なり病原体が特定できる膣カンジダ症(原因:カンジダ)、膣トリコモナス症(原因:トリコモナス原虫)があります。

それぞれの特徴は以下の通りです(※3)。

膣内で発症する感染症

  細菌性膣症 膣カンジダ症 膣トリコモナス症
原因微生物
(病原体)
好気性菌や嫌気性菌 カンジダ トリコモナス原虫
炎症所見 なし あり あり(強い)
おりものの性状 均一な灰白色 白色
粥状・チーズ状
膿性泡沫状、ときに血性
(少量の血が混入したおりもの)
おりもののpH 5.0以上の場合が多い 4.5以下 5.0以上の場合が多い
アミン臭 あり なし ときにあり
その他の所見 善玉菌は減少 多くは膣内の細菌バランスが崩れていない
(善玉菌は減少しない)
多くは善玉菌が減少
(ときに細菌性膣症を合併)
その他 膣壁におりものが薄く付着 膣壁に白いおりものが付着 子宮膣部に小豆大の小出血

細菌性膣症の診断

細菌性膣症は、細菌検査、おりものの性状やpH、アミン臭の有無など、総合的に判断して、診断されます。また、世界的にもWHO(世界保健機関)によって細菌性膣症の診断基準が設けられています。

細菌性膣症によるリスク

自覚症状がまったくない場合治療は不要ですが、細菌性膣症は細菌性膣炎、子宮頸管炎(しきゅうけいかんえん)の前兆状態と考えられています。細菌性膣症で異常増殖した病原菌が、膣から子宮、子宮から卵管、卵管から骨盤へと上行性に感染することで、子宮内膜炎、卵管炎、骨盤腹膜炎(こつばんふくまくえん)を引き起すことがあります(※3)。さらに、細菌性膣症はHIV感染やクラミジア感染などの原因とも言われています(※5)。

細菌性膣症が早産のリスク因子であることは広く知られています(※3)。細菌性膣症にかかると、正常な妊婦に比べて早産の確率が2.19倍高くなると報告されています(※6)。

細菌性膣症によるリスク

細菌性腟症であった妊婦は、全妊婦の18.2%という報告(※7)があります。そのため、妊婦さんは注意が必要です。妊婦さんの場合、感染が胎盤に到達すると絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)、臍帯まで到達すると臍帯炎(さいたいえん)を発症します。また、細菌性腟症は正期前の低出生体重児、産褥子宮内膜炎(さんじょくしきゅうないまくえん)などとも関係があると言われています(※3)。さらに、新生児の肺炎・髄膜炎・菌血症など感染症の原因になることもあるのです(※3)。

細菌性膣症の原因は、免疫力低下や洗い過ぎなど!

細菌性膣症の原因として、性的パートナーが複数いることや子宮内避妊具(IUD)の使用が多いからと言われていますが、そのほかにも、過労やストレスによる免疫力低下や膣の洗い過ぎでも起こりやすいです。

気になったら医療機関へ

細菌性膣症は幅広い年齢層で見られる症状です。とくに10代後半~40代前半の性成熟期女性では比較的多い病的状態で、10~30%がかかっていると言われています(※8)。自覚症状がない場合、治療は不要ですが、おりものの変化が気になったら、医療機関を受診してください。

参考文献
※1 家研也,他.日本プライマリ・ケア連合学会誌. 2012. 35:157-161
※2医療情報科学研究所/病気がみえる(婦人科・乳腺外科) 2012p59 
※3日本性感染症学会誌/ガイドライン 2016. 27:83-86
※4日本女性医学学会/女性医学ガイドブック 2016p190-193
※5日本産婦人科学会/産婦人科診療ガイドライン 2017:335-336
※6 Leitich H, et al. Am J Obstet Gynecol. 2003. 189:139-147
※7 Shimano S, et al. J Obstet Gynaecol Res. 2004. 30:230-236
※8医療情報科学研究所/病気がみえる(産科) 2018p173

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